目次
1. 人と組織の問題とは何か 2. まず最優先で見直すべき深刻な問題 3. 本人側に表れている問題 4. 管理職・リーダー側に表れている問題 5. 人事・採用・配置・登用・制度設計側に表れている問題 6. 3領域を横断して起こる問題 7. なぜ原因分析が重要なのか 8. 対策へ進むために必要なこと 9. 5Dプロファイル診断と組織診断が役立つ理由1. 人と組織の問題とは何か
人と組織の問題という言葉は、企業の現場で広く使われています。 しかし実際には、その中身は非常に幅広く、採用、配置、登用、育成、制度運用、管理職の関わり方、 チーム内の関係性、職場文化まで、多くの論点が含まれています。
現場では、問題はしばしば「本人が弱い」「管理職が悪い」「人事の採用ミスだ」と個別に語られます。 こうした見方は、問題がどこに表れているかを整理する入口としては分かりやすい一方で、 そのままでは原因の特定や対策判断としては不十分です。
必要なのは、顕在化した問題を見て終わることではなく、その問題がどの領域に表れているのかを整理したうえで、 なぜ起きたのかという原因を切り分け、どこを見直すべきかを判断することです。
このページでは、人と組織の問題を次の3つの領域に整理します。
- 本人側に表れている問題
- 管理職・リーダー側に表れている問題
- 人事・採用・配置・制度設計側に表れている問題
そのうえで、複数の領域にまたがって起こる横断的な問題も整理し、 原因と対策を考える土台を作ります。
2. まず最優先で見直すべき深刻な問題
人と組織の問題の中でも、特に優先して見直すべき問題があります。 これらは、放置すると採用、配置、育成、評価、組織運営のすべてに悪影響を及ぼします。
- 役割期待が曖昧で、誰が何に責任を持つのか分からない
- 採用した人が活躍せず、配置後にミスマッチが顕在化する
- 管理職に負荷が集中し、育成・判断・対話の質が落ちる
- 制度はあるが、現場運用とつながっていない
- 心理的安全性が低く、本音や異論、リスク情報が上がってこない
- 評価や登用の納得感が低く、組織内の信頼が崩れる
- オンボーディングが弱く、入社後の立ち上がりや定着に失敗する
- エンゲージメントが低く、離職や無気力、受け身が広がる
- 多様な人材を採用しても活かしきれず、協働不全や不公平感が起きる
- AIやデジタル導入に対して、仕事や役割の再設計が追いついていない
これらは別々の問題に見えますが、実際には相互に連鎖していることが少なくありません。 そのため、表面に見えている現象だけを追うのではなく、 どの領域から問題が起きているのかを整理することが必要です。
3. 本人側に表れている問題
本人側に表れている問題とは、個人の能力、特性、思考、行動、対人関係の持ち方などに 症状として現れている問題です。 ただし、ここでいう「本人の問題」とは、本人だけが悪いという意味ではありません。 役割との不一致、経験や育成不足、配置・配属のミスマッチ、管理職の関わり方の影響によって、 本人側に症状が出ている場合も多くあります。
- 役割期待に対して成果発揮が安定しない
- 指示待ちが多く、自律的に動けない
- 優先順位づけが弱く、仕事が滞る
- 報連相が不足し、周囲が状況をつかめない
- 対人コミュニケーションの癖が強く、誤解や摩擦を生みやすい
- 感情コントロールが不安定で、態度や反応に出やすい
- ストレス耐性や回復力が弱く、継続的に力を出せない
- 変化への適応が遅く、新しい役割や環境に移れない
- 学習やリスキリングが進まず、仕事の変化に追いつけない
- 自己理解が浅く、自分の強み・弱み・向き不向きが分かっていない
- 多様な価値観や文化背景を持つ相手との協働が苦手
- 無意識の偏見によって、対人関係や判断にズレが生じる
- リモートやハイブリッド環境での自律、共有、協働が弱い
- AIやデジタルツールを使う前提の仕事に適応できない
- 責任を引き受けるより、回避、保留、先送りに流れやすい
- 仕事の意味や目的をつかめず、受け身になる
- 過度な完璧主義や過剰適応によって、疲弊、遅延、抱え込みが起きる
- 挑戦回避が強く、未知の役割や新しい課題に踏み出せない
- 周囲の期待と本人の仕事観がずれ、モチベーションが続かない
- 不安や不満を言語化できず、突然の離職や対立として表面化する
なぜ起こるのか
本人側に表れる問題は、単純な能力不足だけでは説明できません。 役割が曖昧なまま仕事を任されている、配置が合っていない、 上司からの期待や フィードバックが不足している、 そもそも本人の特性や仕事観ややる気の源泉が把握されていない、 こうした背景があると、本人側に問題が表れやすくなります。
また、近年は仕事そのものが変化しているため、従来は問題にならなかったことが問題になりやすくなっています。 たとえば、対面中心の職場では成立していた働き方が、ハイブリッド環境では機能しないことがあります。 AIやデジタルツールの活用が前提になったことで、学習移行の遅れがそのまま成果差につながることもあります。
対策の考え方
本人側の問題に対しては、本人への指導だけで終わらせてはいけません。 まず必要なのは、本人の特性、思考傾向、感情傾向、行動傾向、仕事観を正しく見立てることです。 そのうえで、役割期待とのズレを確認し、必要な学習、配置見直し、関わり方の調整を行う必要があります。
4. 管理職・リーダー側に表れている問題
管理職やリーダー側に表れている問題とは、部下育成、役割設定、業務配分、評価、 対話、チーム運営の持ち方に現れる問題です。 今、多くの企業では、この領域に最も負荷が集中しています。
管理職は、成果責任を持ちながら、育成、評価、心理的安全性、多様性対応、ハラスメント配慮、 良好な関係の質の維持、離職防止、ハイブリッド勤務下での連携確保まで求められています。 そのため、管理職の問題は、本人のマネジメント能力だけではなく、 求められている役割や責任そのものの難易度の上昇とも関係しています。
- 期待水準や役割定義が曖昧で、部下に何を求めるかが言語化できない
- 部下ごとの特性理解が不十分なため、一律の関わり方をしてしまう
- フィードバック不足で、育成が進まない
- 逆に介入しすぎて、マイクロマネジメントになる
- 問題社員や不調者への対応を先送りし、チーム全体に負荷を広げる
- 業務配分が偏り、特定メンバーや自分に負荷が集中する
- プレイヤー業務を抱え込み、マネジメント機能が落ちる
- 心理的安全性をつくれず、本音、異論、リスク情報が上がってこない
- 評価の説明責任を果たせず、納得感を失わせる
- チーム内の対立や不信を放置してしまう
- メンバーのエンゲージメント低下に気づかない、または打てない
- 多様な人材を活かすマネジメントができない
- 女性活躍を支えるマネジメントができない
- 少数意見や異なる働き方を受け止める器がない
- ハラスメント回避に偏りすぎて、必要な指導まで弱くなる
- 逆に旧来型の強い統制で、信頼を失う
- ハイブリッド勤務下で、関係構築と情報共有の質を保てない
- AI導入後の役割再設計や、人とAIの分担設計ができない
- 意思決定が遅い、または拙速で、現場を振り回す
- 目先の火消しに追われ、中長期の人材育成が止まる
- 自分自身が疲弊し、判断、対話、育成の質が落ちる
- 再雇用者と現役世代の役割分担を機能させられない
なぜ起こるのか
管理職側の問題は、管理職個人の資質だけではなく、 役割期待の設計不足から起きることが多くあります。 何をもって良い管理職とするのかが曖昧なまま昇格させている。 管理職登用後に必要な支援や育成が不足している。 プレイヤー業務を持たせすぎている。 評価、育成、対話の重要性を求めながら、それに使う時間と権限が不足している。 こうした状態では、管理職機能は弱くなります。
対策の考え方
管理職の問題を改善するには、管理職本人への期待を明確にし、 何を担う役割なのかを再定義する必要があります。 同時に、部下の特性理解、対話、フィードバック、業務配分、 心理的安全性づくり、多様性マネジメントなど、 実務で必要な能力を支援しなければなりません。 管理職を「結果責任だけの人」にせず、 「人と組織を動かす役割」として設計し直すことが必要です。
5. 人事・採用・配置・登用・制度設計側に表れている問題
人事の問題は、採用時の見極めだけではありません。 採用、配置、昇格、登用、育成、評価、制度運用の設計全体に現れます。 この領域が弱いと、本人と管理職の問題が次々に発生します。
- 採用基準が曖昧で、活躍要件が定義されていない
- 面接評価が印象や経験偏重で、内部特性や適応可能性を見抜けない
- オンボーディング設計が弱く、入社後の立ち上がりに失敗する
- 配置が本人特性や役割期待と合っておらず、早期ミスマッチが起きる
- 管理職やリーダー登用基準が曖昧で、昇格後に機能不全が起きる
- 評価制度はあるが、現場運用と接続していない
- 部門ごとに人材要件がばらつき、一貫した人材判断ができない
- 採用、配置、育成、評価、登用が分断されている
- 多様な人材を前提にした制度、配置、育成が設計できていない
- 障害者雇用をキャリア形成や活躍につなげられない
- 昇進・登用の基準と運用が、女性活躍に結びついていない
- 柔軟な働き方を制度化しても、現場運用が追いつかない
- 心理的安全性や協働文化を制度面から支えられていない
- 後継者育成やサクセッション設計が弱い
- 高業績者に依存し、再現性ある人材基盤が作れない
- リスキリング対象と必要能力の定義が曖昧である
- AI導入後の役割再定義、能力要件見直し、評価再設計ができていない
- エンゲージメントを測っても、打ち手につながらない
- 離職データを持っていても、原因分析が浅い
- 制度変更の意図が現場に伝わらず、形骸化する
- 人的資本経営の開示と実際の人材運用が乖離する
- 人事が制度管理に寄りすぎ、経営と現場をつなぐ設計機能が弱い
- 再雇用者の役割と処遇を設計できない
なぜ起こるのか
人事設計側の問題は、制度や採用フローを作ること自体が目的化しやすいことから起こります。 本来は、採用、配置、昇格、育成、評価、登用が一貫した判断基準でつながっている必要があります。 しかし実際には、採用は採用、育成は育成、評価は評価として分断されやすく、 結果として人材活用の一貫性が失われます。
対策の考え方
人事側の対策として最も重要なのは、活躍要件を明確にすることです。 どの職種、どの役割、どの階層に、どのような特性、行動、仕事観、思考特性が必要なのか。 これを定義し、その基準を採用、配置、登用、育成、評価に一貫して反映させる必要があります。 制度を作るだけではなく、現場で使える判断基準として設計し直すことが重要です。
6. 3領域を横断して起こる問題
実際の現場では、本人、管理職、人事のどれか1つだけで説明できない問題も多くあります。 これらは、複数の領域にまたがって起きる横断的な問題です。
- 期待・想定していた仕事内容と違う
- 上司やチームのメンバーと相性が合わない
- 部下の離職を防げず、定着につなげられない
- 部下のエンゲージメントを高められない
- 部下をリーダーに昇格させたら期待通りでなかった
- 職場内の信頼を維持できない
- 心理的安全性を実現できない
- 部門間連携を機能させられない
- 会議と調整が増え、仕事を前に進められない
- テレワーク勤務者と協働を機能させられない
- AI導入後の人の役割を明確にできない
- 多様性を活かし、Win-Winにつなげられない
- 出産・育児と両立しながらキャリア継続できる設計が弱い
- 評価と登用の納得感をつくれない
- 管理職を担いたいと思える状態をつくれない
- 高業績者への依存から抜け出せない
- 部門間の壁が高く、その連携が進まない
- 短期成果を追うあまり育成を止めてしまう
- 経営戦略と人事を接続できず、制度だけが増えていく
- 再雇用制度を作っても、現場運用に落とせない
- 「何が正しいか」より、「誰が正しいか」の議論になってしまう
こうした問題は、本人だけを責めても解決しません。 管理職だけを責めても解決しません。 人事制度を変えるだけでも解決しません。 複数の領域を横断して原因を整理し、つながった対策を打つ必要があります。
7. なぜ原因分析が重要なのか
人と組織の問題に対して、現場ではすぐに対策を打ちたくなります。 研修を実施する。評価制度を変える。管理職に指導する。採用基準を厳しくする。 しかし、原因分析が曖昧なまま対策を進めると、多くの場合、効果は限定的になります。
本人の問題に見えていても、実は配置ミスマッチが原因かもしれません。 管理職の問題に見えていても、実は登用基準の弱さが原因かもしれません。 採用の問題に見えていても、実は▶ オンボーディングや現場受け入れ設計の問題かもしれません。
だからこそ、問題を整理し、原因を分析し、その原因に合った対策へ進めることが必要です。
8. 対策へ進むために必要なこと
対策を考えるためには、まず問題を見立てる必要があります。 そのためには、感覚や印象だけでは足りません。
- 本人がどのような場面で力を発揮し、どこでつまずきやすいかを見極めること
- 管理職の関わり方やマネジメント上の癖を整理すること
- 採用、配置、登用、昇格、評価、育成、異動の判断基準を見直すこと
- それらを別々ではなく、つながった構造として捉えること
- 立場や損得が絡む前に、いったん損得を外して何が問題の本質かを整理すること
これが重要です。
9. 5Dプロファイル診断と組織診断が役立つ理由
人と組織の問題が複雑になるほど、表面の現象だけを見ても原因は分かりません。 本人の性格、感情、思考、行動、仕事観ややる気の源泉を多面的に見なければ、 本当の強みや弱み、ミスマッチの原因はつかみにくくなります。
5Dプロファイル診断は、こうした見えにくい心理的な内部構造を可視化するための方法です。 また、個人だけでなく、管理職との関係、チームや組織の状態をあわせて見ていくことで、 問題を「誰が悪いか」ではなく「どこにズレがあるか」として整理しやすくなります。
人と組織の問題を改善するには、問題を整理し、原因を明確にし、その原因に合った対策へ進むことが必要です。 そのための土台として、可視化と見立ての精度は欠かせません。
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