タックマンモデルとは、組織やチームが形成されてから成果を出すまでの過程を、 段階的な組織の成長プロセスとして捉えたモデルです。
チームは最初から機能するわけではありません。 むしろ、関係のぎこちなさ、意見の衝突、役割の不明確さといった状態を経ながら、 徐々に成果を出せる状態へと変化していきます。
タックマンモデルは、この組織の変化を「フォーミング → ストーミング → ノーミング → パフォーミング → アジャーニング」 という5つの段階で整理したものです。 チームの状態を見誤らず、適切にマネジメントするための実務的な判断フレームとして活用されます。
1. 定義
タックマンモデルとは、チームが成果を出すまでに通過する過程を、 5つの段階(形成・混乱・統一・機能・解散)で説明するチーム成長モデルです。
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各段階は以下のように整理されます。
- フォーミング(形成期):関係が浅く、役割や目的が不明確な状態
- ストーミング(混乱期):意見の対立や衝突が表面化する状態
- ノーミング(統一期):ルールや役割が整理され、関係が安定する状態
- パフォーミング(機能期):自律的に連携し、成果を出せる状態
- アジャーニング(解散期):チームの役割を終え、次へ移行する状態
つまり、チームは直線的に成長するのではなく、 対立や混乱を経て機能するという前提で設計すべき対象であることを示しています。
2. 意味
タックマンモデルの意味は、チームの問題を「異常」ではなく「過程」として捉える点にあります。
現場では、対立や混乱が起きると、 「メンバーの相性が悪い」「管理が足りない」といった個人やマネジメントの問題として扱われがちです。 しかし、多くの場合、それはストーミング段階にある自然な状態です。
このモデルを理解していないと、 本来通過すべき対立を抑え込み、表面的な関係を維持することで、 結果としてチームが機能しないまま固定化されることがあります。
逆に、段階を理解していれば、 「今どの状態にあるのか」「何が起きているのか」「次に何をすべきか」 を冷静に判断できるようになります。
3. 価値
タックマンモデルの価値は、チームの状態を誤診しないことにあります。
たとえば、
- 対立がある → チームが悪い
- まとまっている → 良いチーム
という単純な判断は、現実とズレています。
実際には、
- 対立がある=成長過程にある可能性が高い
- 対立がない=意見が出ていない可能性がある
という構造が存在します。
タックマンモデルを使うことで、チームの状態を感覚ではなく構造で捉えられるようになります。
これは、マネジメントにおいて非常に重要です。 なぜなら、チームの状態を誤ると、
- 不要な介入をする
- 必要な対立を止める
- 本来の課題を見逃す
といった判断ミスが起きるためです。
したがってタックマンモデルの価値は、 「チームの状態を見誤らないための判断基準になること」 にあります。
4. メリット
- チームの状態を客観的に把握できる
- 対立や混乱を正しく理解できる
- 適切なマネジメント対応を選択しやすくなる
- 成長過程を前提にチームを設計できる
- チームビルディングの再現性が高まる
- 問題の原因を個人ではなく構造で捉えられる
5. デメリット
タックマンモデルは有効ですが、単純化しすぎると誤用されます。
第一に、段階が直線的に進むとは限りません。 チームは状況やメンバー変更によって、何度も前の段階に戻ります。
第二に、段階を知っているだけでは意味がありません。 重要なのは、その段階に応じたマネジメントを選択できることです。
第三に、すべてを段階の問題として片付けると、 個人の能力や役割設計の問題を見落とす可能性があります。
6. 実務での位置づけ
タックマンモデルは、チームマネジメントにおける状態把握の基盤として位置づけられます。
実務では、まずチームがどの段階にあるのかを見極めることが重要です。 そのうえで、
- フォーミング:目的と役割の明確化
- ストーミング:対話と関係調整
- ノーミング:ルールと合意形成
- パフォーミング:権限委譲と自律促進
といった対応を選択する必要があります。
また、このモデルは、
心理的安全性、
フォロワーシップ、
リーダーシップ、組織や事業の理念、組織の役割分担、
組織の成功循環モデルの良好なコミュニケーションや信頼関係の構築、
さらに、多様性を認め・受け入れることの重要性とも密接に関係します。
特にストーミング段階では、心理的安全性がなければ対立は建設的にならず、チームは機能不全に陥り、崩壊する危険性が高まります。
したがって、タックマンモデルは単なる理論ではなく、 チームの状態を見立て、適切な介入を選ぶための実務ツールとして活用する必要があります。
つまり、タックマンモデルは、 チームの成長を「感覚」ではなく「構造」で捉えるための基盤となる考え方です。